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胃がん

疾患概要

胃がんは、胃の内側の粘膜に発生する悪性腫瘍です。発生の主な原因はHelicobacter pylori(ピロリ菌)感染であり、長期間の感染により慢性胃炎から萎縮性胃炎、腸上皮化生を経て発がんに至ることがあります。食塩の多い食事や喫煙も危険因子とされています。早期胃がんでは自覚症状がほとんどなく、進行すると食欲不振、体重減少、貧血、吐血などがみられます。診断は内視鏡検査と組織生検で確定し、CTなどで病期を評価します。治療は、がんの進行度に応じて内視鏡治療、手術、化学療法を組み合わせて行います。早期発見により、内視鏡的切除のみで根治できる症例も多く、定期的な内視鏡検診が重要です。

治療について

胃がんの治療は、がんの深さや広がり、転移の有無、全身状態によって決定されます。
内視鏡治療は、がんが胃の粘膜内にとどまり、リンパ節転移の危険性が極めて低い早期がんが対象です。主に内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が行われ、胃を温存したまま病変を一括切除することができます。
一方、がんが筋層以深へ浸潤している場合や、リンパ節転移が疑われる場合には外科的切除(胃切除術)が標準治療となります。ただし、高齢や重度の併存疾患などで手術のリスクが高い場合は適応となりません。
化学療法は、手術不能進行例や再発例が対象で、がんの性質に応じて、HER2、PD-L1、CLDN18.2、MSIなど分子マーカー検査も実施し、個別化治療が進んでいます。

手術(外科治療)

胃粘膜下層剝離術(ESD)は、早期胃癌を一括で切除することが可能な内視鏡治療です。方法としては内視鏡で病変部の位置や範囲を確認し、病変の周囲にマーキングを行います。その後、専用のナイフを用いて病変の表面の粘膜を切開し、粘膜下層に薬剤を注入して浮かせることで、剝離しやすくします。粘膜下層を少しずつ丁寧に剝離を行い病変全体を一括で切除します。外科手術を避けられ身体への負担が少ないことが特徴で、病理診断の精度も高く、治療後の胃機能も温存できます。

消化器外科

『胃カメラで取り除くことはできないけど、他の臓器に転移がなく身体の中からがんを肉眼的に無くすこと(根治)ができる』症例を治療します。手術の方法は腹腔鏡(小さな創から内視鏡で見ながら、細いマジックハンドのような器具を用いる)や手術支援ロボットを用いた方法で行っています。とくにロボット支援下手術は遠隔操作による精密で安定した動きを可能にし、より複雑で細やかな手術手技を患者様に提供ができるアプローチと考えています。

放射線治療

胃がんに対する放射線治療は、出血や通過障害などの症状を軽減する目的で行われます。手術が困難な場合や再発例に対して、病変部に集中的に照射することで、出血の止血効果や食物の通過改善が期待できます。当院では放射線科と協力し、高精度照射により当院では、放射線科と協力し、副作用の低減に努め、安全で効果的な治療を行っています。

薬物療法

胃がんの薬物療法(化学療法)は、手術が難しい進行・再発例を対象に行われます。
一次治療では、がんの性質に応じて薬剤を選択します。HER2陰性の胃がんでは、S-1+オキサリプラチン(SOX療法)やFOLFOX療法(5-FU+ロイコボリン+オキサリプラチン)が標準治療です。HER2陽性の場合は、これらにトラスツズマブ(ハーセプチン)を併用します。また、PD-L1陽性例ではニボルマブを併用する免疫化学療法が推奨されています。
二次治療では、一次治療後に病状が進行した場合、パクリタキセル+ラムシルマブ(抗VEGFR2抗体)の併用療法が行われます。
三次治療以降では、ニボルマブ単剤、またはトリフルリジン・チピラシル(ロンサーフ)が使用されます。

治療実績

胃内視鏡的粘膜切除術、胃内視鏡的粘膜下層剥離術、腹腔鏡内視鏡合同胃局所切除術(LECS)、化学療法など、幅広い治療に対応しています。

消化器外科実績