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子宮頸がん

疾患概要

  • 子宮頸がんは、子宮頸部(入口の部分)に発生する悪性腫瘍です。
  • 主な原因としてはヒトパピローマウイルス(HPV)感染と言われております。
  • がん発生までに、異形成(軽度・中等度・高度)→上皮内がん→浸潤がんという段階的な進行であることが特徴です。(特殊型などでは例外はあります)
  • 子宮頸がんワクチンとがん検診併用で予防と早期発見が可能となってきました。

治療について

  • 前がん病変(主として高度異形成)は円錐切除術という小手術を施行します。それは検査と取り切れていれば治療を兼ねます。
  • I期以上は手術療法・放射線(同時化学療法)など症例によって対応します。
  • ⅣB期(遠隔転移あり)は化学療法を施行します。
  • 当院では施行しておりませんが、妊娠を希望されるIB期までの患者様は、子宮頸部広汎切除術という手術があり、施行施設に紹介させていただくこともできます。

手術(外科治療)

  • 前がん病変(高度異形成など):円錐切除術
  • 上皮内がん(以前0期の子宮頸がんと定義されていたもの):円錐切除術/挙児希望のない方・腺癌の方:単純子宮全摘術±両側付属器切除術
  • I期:準広汎(±リンパ節郭清)~広汎子宮全摘出術
  • Ⅱ期:広汎子宮全摘術(放射線同時化学療法となることもあります)
  • それ以上もしくは再発:骨盤内臓全摘術(施行できる方は限られます。当院では施行しておりません)

放射線治療

  • I~Ⅱ期:放射線単独療法もしくは放射線同時化学療法
  • 手術療法と成績は同等といわれております。
  • 全骨盤照射が基本となります。
  • 腔内照射(子宮頸部に直接放射線を照射すること)併用が治療の要であり、腔内照射は他院でお願いすることとなります。
  • 化学療法を併用する場合は放射線照射期間に週に1回抗がん剤を施行します。
  1. 根治的(化学)放射線療法
    身体の外から照射する外照射と、放射線を出す物質を子宮内に挿入し中から照射する密封小線源治療を組み合わせて治療します。化学療法を併用することもあります。
    当院では密封小線源治療装置がないため、実施可能施設へ紹介することになります。
    外部照射は1日1回の治療を週5日、計25回(5週間)行うことが基本です。
    1回の治療時間は10分程度です。
    密封小線源治療は外照射期間の後半もしくは終了後に、週1回で計3~4回行います。
    小線源治療日には外照射はお休みとなります。
  2. 再発巣、転移病巣に対する緩和照射
    がん病巣に起因する種々の辛い症状を緩和する目的で行います。1-10回の小数回で行うことが一般的で、治療に伴う副作用はごく軽度です。

薬物療法

  • 放射線同時化学療法は放射線と同時にシスプラチンを週に1回静脈投与します。照射期間中施行しますので5~6回施行することになります。放射線の感受性を高め根治を目指します。適応はIB2期~ⅣA期、術後再発高リスク症例が対象です。
  • 再発・転移性子宮頸がんに対しては根治が難しいため、延命と症状緩和を目的として全身化学療法を行います。
  • シスプラチン+パクリタキセル+ベバシズマブ
  • カルボプラチン+パクリタキセル+ベバシズマブ
  • PD-L1陽性再発・転移子宮頸がん:ペムブロリズマブ+プラチナ系抗がん剤+パクリタキセル(±ベバシズマブ)
  • セミプリマブ(PD-1阻害薬)
  • チソツマブベトチン

最近は分子標的薬・免疫チェックポイント阻害薬など選択肢が広がりました。

治療実績

現時点では腟式手術(円錐切除)、
前がん病変の腹腔鏡下子宮全摘開腹手術のみ施行可能ですが、
今後は、腹腔鏡下悪性腫瘍手術、
ロボット支援下手術に関し、準備中です。