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腫瘍内科勝俣 範之
2025年4月1日、本院は神奈川県がん診療連携指定病院の新規指定を受けました。これまでも、がん診療には積極的に取り組んでいましたが、放射線治療部門の要件が満たされず、指定病院の要件を満たすことができませんでした。2021年に新棟に移転時より、放射線治療部門を新設し、IMRT(強度変調放射線治療)対応の放射線治療装置の設置、専門医師、放射線物理士の配置をし、高度な放射線治療が施行できるようになった結果、がん診療連携指定病院の指定を受けさせていただくこととなりました。
これからは地域がん診療連携拠点病院の要件を充分に果たすべくさらに大きく発展していくことが望まれます。がん診療センターは、がん診療に関するすべてを横断的に統括管理いたします。がん診療における診療連携の拠点として、がん症例を集学的に検討するキャンサーボードを毎月開催し、がん診療の質を高めていきます。また、院内外の研修会や講演会も数多く企画してまいります。
日本医科大学武蔵小杉病院は、がん医療の拠点として新たな幕開けを迎えました。皆様のご期待に応えるべく一丸となって努力致します。ここにあらためまして、ご指導ご鞭撻を心からお願いする次第です。
放射線治療科村松 博之
がんの治療は“治せばよい”時代から“いかに治療前と同じような生活ができるか”にシフトしてきています。根治性を追求することは大前提ではありますが、患者さん個々の価値観やライフスタイルによって“患者さんにとって最善の治療”を提供することが要求されます。
1つの診療科で完結できるものではなく、支持療法や副作用対策、機能維持の訓練、栄養管理、メンタルケア、就学や就労との両立、社会保障資源の有効な利用など様々な診療科、部門、職種が連携して患者さんに対応する必要があります。今回、がん診療に関する諸事を統括すべく当院にもがん診療センターが開設されました。地域の皆様に“がんになってしまっても近くに武蔵小杉病院があるから大丈夫”という安心をお届けできるよう、皆で協力してセンター機能の充実に尽力していく所存です。
当院では「がん診療センター」を中核とし、各診療科、そして多職種の専門スタッフが部門の垣根を越えて連携する、患者さん中心の診療体制を構築しています。全ての専門家が情報を共有し、一人ひとりの患者さんに最適な医療を提供するためのチーム医療を実践しています。

当院は、大学病院として「専門性」、身体への負担を抑える「低侵襲治療」、多様な専門家が連携する「集学的アプローチ」、そして地域全体で患者さんを支える「医療連携」を柱としたがん診療を提供します。
大学病院ならではの
専門性と研究力
長年の研究活動と豊富な臨床経験を持つ各分野の専門医が、科学的根拠に基づいた質の高い医療を提供します。一人ひとりの患者さんに最適な治療法の選択肢を提示できるよう努めています。
身体への負担が少ない
低侵襲治療
患者さんの身体的な負担を可能な限り軽減し、治療後の生活の質を維持することを目指しています。内視鏡やカテーテルを用いた治療、ロボット支援下手術など、新しい医療機器を適切に活用し、より負担の少ない治療の提供に努めます。
心と生活も支える
集学的アプローチ
がん治療は、単に病巣を取り除くだけではありません。当院では、外科、内科、放射線科などの医師だけでなく、看護師、薬剤師、ソーシャルワーカー、緩和ケアチームなどが連携する「キャンサーボード」を定期的に開催。治療方針の検討から、治療に伴う不安や悩み、社会生活に関するサポートまで、多角的な視点で患者さんをチームとして支えます。
地域で支える
切れ目のない医療連携
地域のクリニックや病院と緊密に連携し、診断から治療、そして治療後の経過観察まで、一貫した医療を提供できる体制を整えています。かかりつけ医と当院の専門医が役割を分担し、地域全体で患者さんの健康を見守ります。
がんゲノムとは、がんの原因となる遺伝子や、遺伝情報の全体のことを言います。
がんゲノムに関しては、現在、数百以上の遺伝子変異やがん融合遺伝子などが見つかっていますが、次世代シークエンサーの発明によって、これらのがんゲノムがいっぺんに調べられるようになりました。
また、がんゲノムを調べることによって、特定の分子標的治療薬が見つかり、治療につながる可能性がひろがるようになりました。
がんゲノム医療は、「遺伝子パネル」といって、保険適用になり、すべてのがん患者さんが受けられるようになっています。
当院では、がんゲノム医療を希望される患者さんは、厚生労働省が指定する、がんゲノム医療中核拠点病院、がんゲノム医療拠点病院、連携病院に紹介を行ってまいりますので、主治医、がん相談室までご相談ください。
当院での主な遺伝子パネル依頼先については、神奈川県立がんセンター、聖マリアンナ医科大学病院です。
| 製品名 | OncoGuide NCCオンコパネルシステム |
FoundationOne CDx がんゲノムプロファイル |
GenMineTOP がんゲノムプロファイリング |
FoundationOne Liquid CDx がんゲノムプロファイル |
Guardant360 CDx がん遺伝子パネル |
|---|---|---|---|---|---|
| 対象 | 標準治療がない固形がん、または、標準治療終了後(終了見込み含む)の進行・再発の固形がん | ||||
| 検体 | 腫瘍組織検体(ホルマリン固定パラフィン包埋体) | 末梢血(リキッドバイオプシー) | |||
| 検出遺伝子変異 | 114遺伝子 | 324遺伝子 | DNA:737 RNA:455 | 324遺伝子 | 74遺伝子 |
| MSI(マイクロサテライト不安定性) | ○ | ○ | - | ○ | ○ |
| TMB(腫瘍遺伝子変異量) | ○ | ○ | - | ○ | ○ |
| 生殖細胞系列の区別 | - | ○ | - | ○ | - |
保険点数:56,000点(56万円)※高額療養費制度対象
| MSI-High | TMB-High | NTRK | BRAF | RET | HER2 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 頻度 | 全がん種:6.8% 大腸がん:17% 子宮体がん:23% 胃がん:30% |
全がん種:13% 非小細胞肺がん:33% 子宮体がん:16% |
全がん種<1% 唾液腺がん(MASC):90% 甲状腺がん:10% 肺がん:1% |
全がん種:7-15% 悪性黒色腫:40-70% 甲状腺がん:30-50% 大腸がん:5-15% |
全がん種<1% 肺がん:1-2% 甲状腺がん:5-10% |
全がん種:3-5% 胃がん:8〜30% 乳がん:15〜25% 肺がん:1〜4% |
| 薬剤 |
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| 奏効率 | 37.2%(n=94) | 29%(n=102) | 57%(n=54)75%(n=55) | 0-89%(n=215) | 43.9%(n=45) | 29%(n=102) |
| 文献 | N Engl J Med 2018;378:731-9. | Lancet Oncol 2020;21:1333–65 | Lancet Oncol 2022;21:271–82 N Engl J Med 2018;378:731–39. |
Nat Med 2023;29(5):1103–1112. | Lancet Oncol 2023;23:1281–73 | Lancet Oncol 2022;23(6):707–719 |