腫瘍内科とは、わかりやすく言うと、「がんの総合内科」です。
腫瘍内科医の役割は、がんの薬物療法(抗がん剤)のスペシャリストであり、適切に抗がん剤を実施することだけでなく、手術や放射線治療、緩和医療などの治療コーディネーターの役割もします。
当科では、SDM(シェアード・ディシジョン・メイキング)といって、患者さんの価値観や、生活の質を尊重しつつ、最適な治療の選択肢を医療者と患者さんと共に考えていくことを大切にしています。より良い生活を送ることのできるよう患者さんと「共に」がんと闘っていきます。
セカンドオピニオンも受け付けていますので、がんの治療方針に対する相談、治療施設に関する相談など、何でもご相談していただければと思います。
当科の対象疾患は、あらゆるがんの薬物療法を担当いたします。
当科の特色としては、他の病院の腫瘍内科でも専門としていることの少ない下記疾患や希少がんに対しても積極的に取り組んでいます。
また、薬物療法だけでなく、外科療法や、放射線療法、緩和ケアなど治療の相談もしております。
当科は、がん薬物療法のアレルギー(過敏性反応)を起こした患者さんに脱感作療法を行っている日本でも数少ない専門施設です。とくに、プラチナ系薬剤であるカルボプラチンは、回数を重ねるとアレルギーを起こすことが知られていますが、一旦アレルギーを起こしてしまうと、多くの施設では、「もうその抗がん剤治療はできない」と言われてしまうことが多いです。脱感作療法とは、アレルギーを起こした抗がん薬を1/1000濃度から、1/100濃度、1/10濃度、原液と、時間をかけてゆっくりと投与することにより、抗がん薬を安全に投与する方法です。
海外のガイドライン(NCCN)では、記載されていますが、日本では脱感作療法を行っている施設が極めて少なく、日本のガイドラインにはまだ記載されていないのが現状です。
下記に示すようなプロトコールで、通常は前日入院し、2泊3日で行っています。軽度なアレルギーは約半数の人に出現しますが、抗アレルギー薬を投与することで、継続可能です。このプロトコールでは、約9割以上のかたが原液まで投与完遂可能となります。
脱感作療法は、カルボプラチンだけでなく、オキサリプラチンやタキサン製剤など、すべての抗がん薬が脱感作療法の対象となります。抗がん剤でアレルギーを起こして、「投与が難しい」と言われた場合、脱感作療法という選択肢があることを知ってほしいと思います。
Nishimura M, Katsumata N, Matsumoto K. et al. Int J Clin Oncol 2021 26(8):1553-1560
かつまた のりゆき
勝俣 範之
教授 / 部長
腫瘍内科
あかぎ ひでこ
赤木 秀子
講師
腫瘍内科
さとう みちこ
佐藤 路子
助教
腫瘍内科
日本内科学会 総合内科専門医
| 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 | |
|---|---|---|---|---|
| 乳がん | 88 | 71 | 82 | 70 |
| 婦人科がん | 71 | 42 | 35 | 24 |
| 消化器がん | 24 | 16 | 20 | 26 |
| 血液腫瘍 | 1 | 2 | 4 | 4 |
| 泌尿器がん | 7 | 3 | 5 | 3 |
| 肺がん | 11 | 6 | 10 | 14 |
| 原発不明がん | 11 | 4 | 6 | 6 |
| 骨軟部腫瘍 | 2 | 1 | 3 | 5 |
| 中枢神経腫瘍 | 0 | 0 | 1 | 5 |
| 頭頸部腫瘍 | 3 | 2 | 4 | 5 |
| 皮膚がん | 5 | 2 | 6 | 10 |
| その他 | 44 | 2 | 4 | 5 |
| 合計 | 267 | 151 | 180 | 177 |
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