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大腸がん

疾患概要

大腸がんは、結腸や直腸の粘膜に発生する悪性腫瘍で、日本では増加傾向にあり、がんによる死亡原因の上位を占めています。食物の欧米化に伴い動物性脂肪の摂り過ぎや食物繊維不足などにより、日本人では大腸がんが急速に増えています。多くは腺腫(良性ポリープ)からがん化するadenoma-carcinoma sequenceにより発生します。危険因子として、加齢、食生活の欧米化(高脂肪・低食物繊維)、肥満、喫煙、家族歴などが挙げられます。男女差はなく、60〜70歳代の高齢者に多く発症します。

進行するのが比較的遅く、早期に発見できれば完治する可能性が高い病気です。大腸がんは早期には症状はありません。早期には自覚症状が乏しく、進行すると血便、便通異常、腹部膨満、体重減少などがみられます。進行して大きくなると便秘や腹痛、血便や便が細くなるといった症状が出てきます。痔からの出血と思い込んでいると大腸がんを見逃すことがあるので注意が必要です。

大腸がん検診では便潜血検査(いわゆる検便)が行われます。しかし大腸がんの発見率は60〜80%と言われており、必ず発見されるわけではありません。便潜血検査で異常があった場合には、大腸内視鏡検査や注腸X線検査などが行われます。診断には大腸内視鏡検査が最も有用で、生検により確定します。

進行度(ステージ)はCTやMRIで評価し、内視鏡治療・外科手術・化学療法・放射線療法を組み合わせて治療を行います。近年では分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬など、がんの遺伝子変化に基づいた個別化治療も進んでいます。

治療について

大腸がんの治療は、がんの深さ(進行度)、転移の有無、全身状態によって決定されます。
内視鏡治療は、がんが粘膜内またはごく浅い粘膜下層までにとどまり、リンパ節転移の可能性が低い早期がんが対象です。ポリープ状病変には内視鏡的粘膜切除術(EMR)、広い病変や一括切除が必要な場合には内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が行われます。
手術(結腸切除・直腸切除)は、がんが筋層以深に達する場合やリンパ節転移を伴う場合に標準治療となりますが、高齢や重度の併存疾患などで全身麻酔や手術が困難な場合は適応となりません。
化学療法は、遠隔転移を認める場合や手術後の再発予防(補助化学療法)、術後の再発の場合に行われ、FOLFOX療法、FOLFIRI療法に加え、分子標的薬(ベバシズマブ、セツキシマブなど)を組み合わせた治療を行います。

消化器外科

大腸がんの治療法は、内視鏡治療、手術治療、化学療法、放射線療法などがあります。がんが発生した場所や進行度(ステージ)などにより、これらの治療を組み合わせて最適な方法を選びます。早期がんの場合、壁深達度が浅い大腸がんでは内視鏡的治療が行われます。進行がんや一部の早期がんでは、リンパ節転移を伴う確率が高いためリンパ節郭清を伴う手術治療が行われます。遠隔転移を伴っている場合には、大腸のがん(原発巣)による症状があるか、原発巣が切除可能か、遠隔転移を生じた部分(遠隔転移巣)が切除可能かにより治療方針が異なります。一般には原発巣および転移巣を切除した方が予後良好とされています。切除不能である場合には、化学療法や放射線療法などが行われます。

手術(外科治療)

早期大腸癌に対する内視鏡治療は、外科手術を行わずに病変を切除できる低侵襲治療です。主な方法にはEMR(内視鏡的粘膜切除術)とESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)があります。EMRは病変の下に液体を注入して粘膜を持ち上げ、スネアで切除する方法で、比較的小さな病変に対する治療法です。一方、ESDは専用ナイフで粘膜下層を剥離しながら病変を一括切除する技術で、大きな病変や瘢痕を伴う病変も切除することができます。外科手術を避けることができるため身体への負担が少ないことが特徴で、病理診断の精度も高く、治療後の大腸機能も温存できます。

消化器外科

結腸ではがんから10cm離して腸管を切除するとともに、がんからなるべく離れたところまでリンパ節を切除します。直腸では肛門側はがんより1〜3cm離して腸管を切除します。肛門が残せる場合はお腹の中で腸管をつなぎ直す前方切除術を行います。がんが肛門に近い場合には肛門まで切除して永久人工肛門を作る直腸切断術を行います。近年、大腸がんの手術は開腹術を行うことは少なくなり、腹腔鏡手術やロボット手術を行う頻度が高くなりました。

放射線治療

局所再発のリスクが高い直腸がんに対しては、術前化学放射線療法を行うことがあります。抗がん剤と放射線を併用することで腫瘍を縮小させ、手術の根治性を高めることが目的です。治療の適応や時期については、消化器外科が中心となり、放射線科と協議のうえで判断します。

直腸がんの放射線治療

  1. 術前化学放射線治療
    手術の前に放射線治療と化学療法を順次行います。放射線治療は1日1回の治療を週5日、計5回(1週間)行います。1回の治療時間は10分程度です。
    治療に伴う強い有害事象の可能性は低いですが、発生するリスクについて事前に十分な説明を行います。
  2. 再発巣、転移病巣に対する緩和照射
    がん病巣に起因する種々の辛い症状を緩和する目的で行います。1-10回の小数回で行うことが一般的で、治療に伴う副作用はごく軽度です。

薬物療法

大腸がんの薬物療法は、手術が困難な進行例や再発例に行われます。(術後補助療法は消化器外科で行います。)
一次治療では、抗がん剤の基本となるFOLFOX(5-FU+ロイコボリン+オキサリプラチン)またはFOLFIRI(5-FU+ロイコボリン+イリノテカン)を用います。これらに分子標的薬を併用し、血管新生を抑えるベバシズマブ、RAS野生型ではセツキシマブやパニツムマブを使用します。
二次治療では、一次治療と異なるレジメンを選択し、三次治療以降ではトリフルリジン・チピラシル(ロンサーフ)+ベバシズマブなどが行われます。
BRAF V600E変異例に対してエンコラフェニブ(+ビニメチニブ)+セツキシマブ併用療法が有効とされ、HER2陽性例ではトラスツズマブ+ペルツズマブなどの抗HER2療法が適応となります。
また、MSI-High(高頻度マイクロサテライト不安定性)の症例では、ニボルマブやペンブロリズマブによる免疫療法が有効です。当院では分子検査結果に基づき、標準的な治療から個別化治療まで幅広い選択肢を提供しています。

治療実績

食道内視鏡的治療、放射線化学療法、化学療法など、幅広い治療に対応しています。

消化器外科実績