脳腫瘍は脳内にできる腫瘍で、脳の細胞が変化して生じて腫瘍化したもの(原発性脳腫瘍)、他の臓器のがんが脳に転移してできたもの(転移性脳腫瘍)があります。原発性脳腫瘍は年間10万人あたり10-20人程度が罹患する希少がんとして扱われ、約100種類以上の病理組織型が存在することが知られています。原発性脳腫瘍のうち悪性脳腫瘍は神経膠腫(グリオーマ)に代表され、他に脳悪性リンパ腫の珍しい腫瘍等、様々あります。また最新のWHO分類では、これまで良性腫瘍とされてきました下垂体腫瘍を悪性腫瘍に分類したり、同一の病理診断としていた悪性脳腫瘍を予後の違い等を、ある遺伝子変異の有無で細分化したりするなど、刻一刻と変化しています。悪性脳腫瘍の治療は、手術による摘出の他に、化学療法や放射線治療等を組み合わせ、治療を行うこと(集学的治療といいます)が極めて重要です。近年医学の進歩により治療効果の高い薬剤が登場することで奏功率も上昇し、また手術においてもナビゲーション、モニタリング、術中蛍光診断を駆使しながら、機能温存を主眼としながら最大限の摘出を目指す治療を心がけています。
当科では、部長の田原が下垂体腫瘍や頭蓋底腫瘍に対する内視鏡下経鼻的腫瘍摘出術において豊富な手術経験を有しており、遠方からもご紹介いただいています、当科における代表的な治療疾患となっております。また悪性脳腫瘍に対しては、2025年10月より付属病院から武蔵小杉病院へ着任する樋口が専門で治療に当たっており、手術から化学療法、放射線治療まで一元的に治療を提供することで、疾患ではなく患者さんにより良い医療を提供することが出来ると考えています。放射線治療については、当院の放射線治療科と密に連携して治療を進めています。互いに協力して患者さん、その腫瘍に対して患者さん一人ひとりに適した医療を計画しています。
たはら しげゆき
田原 重志
病院教授(部長)
間脳下垂体腫瘍の治療、神経内視鏡手術
ひぐち ただし
樋口 直司
病院講師
脳腫瘍の外科、悪性脳腫瘍の集学的治療、神経内視鏡手術
つきやま あつし
築山 敦
助教 / 医員(医局長)
下垂体腫瘍、血管内治療、神経内視鏡手術
| 2022年 | 2023年 | 2024年 | |
|---|---|---|---|
| 脳腫瘍摘出術 | 2 | 6 | 6 |
| 経鼻的腫瘍摘出術 | 22 | 57 | 52 |
| その他 | 0 | 1 | 2 |
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